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zoom RSS 突然ですが、愛する「馬」への想いを記します。

<<   作成日時 : 2011/10/11 21:48   >>

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震災から7ヶ月目を迎えた本日。

突然ですが・・・
一頭のサラブレッドとの出会い書き残したいと思います。


その競走馬との出会いを書いたエッセイです。
(随分昔に記したものです)

彼女は南相馬市で今回の震災に遭いました。
しばらくは無事が確認できなかったのですが
今は元気にしています!

よかったらお付き合いください。




「仔馬いますけど、見て行きます?」

ある牧場で言葉を掛けられた。
その仔馬は生まれてまだ半年だという。

今思えばこのひと言こそ、僕が地方競馬を本当に知るきっかけだった。

深まり始めた秋の気配の中、少しだけ夏が意地を張った日の出来事だった。



ライスシャワーの死によって傷ついた僕の心は、幾年もの月日を経て、乗馬クラブで出会ったムッシュシェクルに救われた。

しかしまだ、競馬場を走る馬の姿を直視する勇気を持てなかった。
ただ、馬という生き物に触れたくて、近くの牧場や乗馬クラブを巡った。

「馬、見せてもらっていいですか?」とスタッフに声を掛け、生い立ちも知らぬ馬を、夢中でファインダーに収めた。

たて髪にふれ、首さしを撫で、鼻面を合わせ、草を食べさせ、時に噛みつかれ。
ひと時の他愛ない空間に心は癒され、身体は解けていった。



そんな中で出逢った一頭の仔馬。額の中央に控えめな三日月形の流星を持った鹿毛の女の子。

穢れないそのつぶらな瞳は、僕の心の奥に射し込む光を持っていた。

そこの牧場長の持ち馬で、関東にある地方競馬で走らせるのだと教えられた。
結局、競走馬なのだ・・・ 

覚悟はしていた。解ってはいた。
ただ、この子が僕をさらに救ってくれそうな気がしてならなかった。

「この子の成長を追いかけさせてください」
思わず口に出してしまった言葉に後戻りできない覚悟を決める。

快くうなずいてくれた場長さんの笑顔に、さらに僕はもう一歩踏み出す勇気を振り絞る。

この子がこれから生きていく場所を、この目で確かめておかなければならない。



初めて訪れた浦和競馬場、第1レースが始まる時間は近づいていた。

僕はゴール前の柵に肘を掛け、体を預ける。

北風を遮る程の人垣などなく、容赦なしに体温は奪われていく。

不安に押し潰されそうな気持ちを紛らわしてくれる賑やかさもそこには存在しなかった。 

場内アナウンスのスタートの声に、思わず体が強ばり、目を閉じてしまう。

僕の中に湧き起こる臆病な気持ちに、勇気が語りかける。

―この場所まで何をしに来たんだ? と。

左耳から入り込む馬たちの蹄音が、大きさを増してくる。

逃げてはいけない。恐る恐る目を開ける。

近い。まるで、手を伸ばせば触れられそうな錯覚を起こす。

来た。今まさに僕の目の前に迫ってくる。

蹴り上げられた砂塵は宙へ舞い、一瞬のきらめきを放ち、また大地の懐へ還っていく。

そのわずかな時間にサラブレッドたちは僕の目の前を走り抜けて行った。

慣れ親しんだはずの美しい光景に、記憶の波は十数年の月日を遡り、またここへ戻ってくる。

そしてあの子を思う。もう目は閉じない。

君の為に僕は強くなる。
いつかこうして、君の走る姿を心から喜べるようになりたいから。
昔のように競馬を愛せるようになりたいから。

ゴール前に帰って来た馬たちの姿をしっかりと見届けた僕は、青い空に向かって思い切り背伸びをして、息をいっぱい吸い込んだ。



どんな一頭にも同じだけの人々の思いが込められ、愛に包まれているサラブレッドたち。

今、こんなにも身近に係われる馬に出逢えた僕は、なんて幸せなんだろう。

そしてその子はこの夏、「地方競馬」というステージに立つ。




彼女はその後
無事に「大井競馬場」でデビューしました。
もとろん応援に行きました(^^)
その後成績を残せず、いろいろな道を辿って
南相馬市の方に面倒を見てもらっています。
(一時は殺処分手前でした・・・)

今年、あの震災で開催が危ぶまれた「野馬追い」
規模は縮小されましたが、関係者の強い想いによって
なんとか開催されました。
そこに向けて、彼女はがんばって生きています。


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは(^^)
「馬」への思い読ませていただきました。いろんなことがあったんですね…。
辛いことも時間が経てばきっといつかそのことに向き合える、それがいずれ辛いことを乗り越えられるきっかけになるかも…ですね。きっとはるかぜさんにとってライスシャワーも今では温かい思い出になっているのではないでしょうか。福島にいるお馬さんも元気でいられてよかったですね(^^)
ではわたしのブログにご招待です。始めたばかりですがお時間があったらどうぞいらしてくださいアドレス添付しました↓

http://hanako-nao-maiko.blog.ocn.ne.jp/blog/
きこりん♪
2011/10/12 21:23
>きこりん♪さん
コメントありがとう(^^)
ここのところ続けて
「シンボリルドルフ」「サッカーボーイ」といった往年の名馬が亡くなりました。
生き物に向きあうのって、たとえ「競馬」でもつらいものです(>_<)
でも「心に刻む」ことが大切なのかなぁ。

きこりん♪さんのブログ、今後ゆっくり拝見させてもらいますね(^^)
はるかぜ
2011/10/12 22:22

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